津田宣秋のブログ|読書レビュー

ツアーオンライン(株)の津田宣秋の読んだ本の感想が中心のブログです。森鴎外、井伏鱒二、吉川英治、菊池寛が好きです。

『蒙古の襲来』 (河出文庫) 海音寺 潮五郎

『蒙古の襲来』 (河出文庫) 海音寺 潮五郎 北条時宗が執権を握っていた鎌倉時代中後期。日本は大陸を支配していたモンゴル帝国から二度にわたって襲来を受けた。1274年の文永の役、1281年の弘安の役である。世界の文化、経済の中心であった宋や高麗を滅ぼし…

『時宗』 (全4巻) (講談社文庫) 高橋 克彦

頼朝亡き後、凄惨な内部闘争に終止符を打ち、武家政治を築いた北条時頼、時宗親子。北条氏が目指した国づくりとは如何なるものであったのか。本書は『火怨』や『炎立つ』などで古代東北の歴史を切り開いてきた高橋克彦が、時頼執権の誕生から蒙古の来襲、時…

『北条氏と鎌倉幕府』 (講談社選書メチエ) 細川 重男

『北条氏と鎌倉幕府』 (講談社選書メチエ) 細川 重男北条氏は、なぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。本書は『鎌倉政権得宗専制論』『鎌倉幕府の滅亡』『頼朝の武士団』などで一貫して日本中世史を論じてきた歴史…

『坑夫』 (新潮文庫) 夏目 漱石

『坑夫』 (新潮文庫) 夏目 漱石 1908年(明治41年)朝日新聞に連載開始 かつて日本は世界有数の銅産出国であった。明治政府の富国強兵策に伴い外国から最新技術を導入した各鉱山は、技術水準が大幅に向上する。特に足尾銅山は全国の産出量の1/4を占める日本…

『岩倉具視―言葉の皮を剥きながら』 (文春文庫) 永井 路子

永井路子が鎌倉時代の武士達に渦巻く怨嗟を描いた『炎環』で直木賞を受賞したのは1964年(昭和39)のこと。当時、小学館の女性編集者だった永井は、歴史の持つ運命の儚さを「一台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引っ張ろうとするように…

『道元』 (河出文庫) 和辻 哲郎

夏目漱石の『門』に主人公の野中宗助が、不安な精神の拠りどころを求めて鎌倉の寺で参禅する場面がある。結局、住職から軽くいなされて帰ってくるのだが、実はこれは漱石自身の経験に基づくものらしい。円覚寺で禅を試みたが余りものにならなかった事が後述…

『日蓮』 (山岡荘八歴史文庫)

平安時代末期から鎌倉時代にかけては多くの新しい仏教宗派が誕生している。日蓮の日蓮宗や法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、道元の曹洞宗、栄西の臨済宗などである。これら新仏教の特徴は、旧来の天台宗や真言宗、南都六宗と異なり、いずれも市井の武士や農民…

『戊辰戦争―敗者の明治維新』 (中公新書) 佐々木 克

薩長倒幕派による国家樹立を確固たるものにした戊辰戦争。1868年(慶応4)戊辰の年の正月に始まった鳥羽・伏見の戦いで徳川慶喜らの旧幕府派に勝利し、勢いに乗った維新政府軍は、その2ヶ月後に西郷・勝会談で江戸城明け渡しに合意、7月には大村益次郎指揮の…

『歎異抄』 (ちくま学芸文庫) 阿満 利麿

浄土真宗宗祖親鸞の教えが書き記された「歎異抄」。おそらく世の中で最も読まれている宗教書だろう。歎異とは「違いを嘆くこと」。親鸞亡き後20数年を経て、聖人の教えとは異なった解釈が広まるのを嘆いた唯円が、「本願念仏」の本旨を後世永久に伝えるため…

『大久保利通』 (講談社学術文庫) 佐々木 克

1878年(明治11年)5月14日はどんよりとした曇り空だった。その日、閣議出席のため赤坂仮御所に馬車で向かっていた大久保は途中、紀尾井坂において石川県士族島田一郎ら6名に襲撃され、非業の死を遂げる。大政奉還から10年、大久保の志は暴力によって絶たれ…

『西郷隆盛 南洲翁遺訓』 (角川ソフィア文庫) 西郷 隆盛、猪飼 隆明

『西郷隆盛 南洲翁遺訓』 (角川ソフィア文庫) 西郷 隆盛、猪飼 隆明 1890年(明治23年)発行 西郷隆盛ほど起伏に富んだ人生を送った男も珍しい。朴訥としたいかにも田舎っぽい風貌でありながら、時の藩侯島津斉昭の懐刀として、華族や諸藩重鎮との間に幅広い…

『明治十年 丁丑公論・瘠我慢の説』 (講談社学術文庫) 福沢 諭吉

本書は、福沢諭吉が執筆した3つの評論「明治十年 丁丑公論(ていちゅうこうろん)」「瘠我慢の説(やせがまんのせつ)」「旧藩情(きゅうはんじょう)」を収める。発刊に携わった石河幹明によると「丁丑公論は西南戦争の鎮定後、直ちに筆を執って著述せられ…

『河童・或阿呆の一生』 (新潮文庫) 芥川 龍之介

芥川龍之介が亡くなったのは1927年(昭和2年)7月の暑い盛りだった。原因は睡眠薬の飲み過ぎによるもので、「将来に対するぼんやりした不安」の言葉を遺して自死した。23才の時に『羅生門』で颯爽と文壇に登場した彼は、古今東西の古典を材に独自の芸術的世…

『後世への最大遺物・デンマルク国の話』 (岩波文庫) 内村 鑑三

幕末から明治の端境期には多くの若者が我も我もと海外へ旅立った。福沢諭吉、渋沢栄一、新渡戸稲造、新島襄、岡倉天心、森鴎外、夏目漱石・・・・。彼らは宗教、言語、人種の異なる地で、時には挫折しつつも、先進文化を貪欲に吸収し、人一倍視野の大きな人…

『古事記』 (小学館) 山口 佳紀,神野志 隆光

警察庁の発表によると正月三が日に神社、仏閣へ初詣する人の数は2009年で9,800万人、毎年おおよそ1億人にのぼるという。日本の人口が約1億2,000万人だから10人中8人が出かけていることになる。統計方法が少々気になるものの、いずれにしても相当数であること…