小沢主義~志を持て、日本人~』(集英社文庫)を読んで。
私は特段民主党に肩入れしている訳でも無いし、弊社の仕事内容を考えれば、ブログで政治の事を書いても良いことは無いと思っているが、昔から小沢一郎氏は好きな政治家の一人であった。もっとも世論を見ても今の日本で小沢一郎が好きだと言って良いことなど一つも無い気がするが。
約20年前に47才の若さで自民党幹事長に就任して以来、有名になった3候補者対談、自民党離党、新生党旗揚げ、細川連立政権樹立、新進党結成、自由党結成、民主党に合流、代表に就任、政権交代、そして与党民主党幹事長・・・・。
生き馬の目を抜く政治の世界で、これほど出処進退が紆余曲折しているにもかかわらず、20年以上に渡って中心に居続けるその力量は驚きだ。恐らく意見の異なる人をまとめる遂行能力が群を抜いているのだろう。細川元首相が上梓した『内訟録 細川護熙総理大臣日記』にもそのあたりがよく出てくる。
その反面アンチの人も多い。1993年に出した『日本改造計画』を読んでも、今回の『小沢主義~志を持て、日本人~』を読んでも、言っていることは、国民一人一人の自立、政治家のリーダーシップ、国連を中心とした防衛など、連立政権や旧民主党との多少の妥協点を除いてあまり変わっていないのだが、よく仲間割れしてしまうのは小沢氏自身も「東北人なので無口で申し訳ない」と言っているように、「あまり説明しない」「言葉足らず」「事後報告主義」。だから藤井さん(元大蔵大臣)みたいについて行けなくなって袂を分かつのかもしれない。
先頃、小沢氏を名誉顧問とする1年生議員約50名による政治資金団体「北辰会」が結成された。代表戦敗北と強制起訴問題で応援すれば自身の政治生命が不利になるかもしれない状況にもかかわらず、この参加人数と復活待望論。これはマスコミのフィルターを通して見る「小沢一郎氏」と実際の「小沢一郎氏」の違いの表れで、直に接すると得難い、ついて行きたい魅力があるのだろう。
そういえば気鋭の細野豪志代議士( http://www.goshi.org/ )が言っていた。民主党代表戦で小沢氏の看板娘ならぬ看板息子?を引き受けて各テレビ局を駆けずり回っていた際に、「負ければ数年は冷や飯は覚悟しています。でも私が副幹事長として接してきた小沢氏は・・」だそうだ。快男子だね。民主党もなかなか捨てたものではない。