今日は夏至。1年で夜がもっとも短い日だ。
帰宅途中、駅から家へと続くけやき並木からふと空を見上げると、緑が空へ向かって大きく羽を広げている。木々が1年で一番輝く季節だ。日中小雨が降ったのだろうか。どこか懐かしい緑と風と空のにおいがする。
あるシーンを思い出す。
「彼女は1歳8ヶ月になったばかりの甥のロジャーを毛布にくるんで、雨の降る中海岸へ降りていく。荒れた海が吠えるようにしぶきをあげる。真っ暗な嵐の夜で何も見えない。彼女と子どもは自然界の中に身を委ね、自身の生命をあらためて認識するのだった」
1962年に「沈黙の春」を発表したレイチェル・カーソンの遺作『センス・オブ・ワンダー(The Sense of Wonder)』の一節だ。彼女は、地球の素晴らしさは生命の輝きにあると信じていた。
下を向いてばかりだと空を大きさを忘れてしまう。どうせなら大きく胸をはって空と対話しよう。木々と対話しよう。季節の素晴らしさを感じ、生命の輝きを見つけてみよう。
この本からそんな事を自分なりに読み取った。
いよいよ夏がやってくる。